2009年8月22日土曜日
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スピン1個を超高精度で検出し、化学分析に用いることに成功 (室温での単一スピン読み取り書き込みに前進)【東北大学】

16:00
JST目的基礎研究事業の一環として、東北大学多元物質科学研究所の米田 忠弘 教授らは、走査トンネル顕微鏡注1)―電子スピン共鳴分光注2)(STM-ESR)装置の検出精度を飛躍的に向上させることで、室温において原子レベルの精度でスピンの位置決定と化学分析を行うことに初めて成功しました。

単一スピンは磁性材料の基本構成単位であり、いわば最小の磁石と考えられます。情報処理に欠かせない磁気記憶媒体などが技術の進歩に伴って縮小化していくなかで、単一スピンに注目が集まっていますが、それを精度良く検出する方法は見つかっていませんでした。ESR は化学分析手法として一般的に用いられ、ラジカル分子などの構造や電子状態の観察に用いられています。しかし、検出感度が弱くスピンを検出するには10億個以上の分子が測定試料として必要であり、単一のスピンだけを原子レベルで検出して化学分析を行うことはこれまでできませんでした。

本研究グループは、装置の改良によって測定試料と探針の間に流れるトンネル電流注3)に含まれる高周波信号注4)成分を高精度で検出できるようにした上で、原子レベルで測定された表面の特定箇所でのスピン信号を検知することに成功しました。これによって、初めて単一スピンの原子レベルでの位置決定と、そのスピンの周波数の測定を同時に行うことができ、化学環境の違いを単一スピンの周波数から分析できました。また本手法は、固体素子との相性もよいと考えることから、トンネル接合を持った固体素子に組み込まれてスピン検知の手法としても用いられる可能性があります。

本研究成果は、米国学術誌「Applied Physics Letters」に受理され、オンライン版で近日中に公開されます。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域:「物質現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術」
(研究総括:田中 通義 東北大学 名誉教授)
研究課題名:低次元ナノマテリアルと単一分子の振動分光・ESR 検出装置開発
研究代表者:米田 忠弘(東北大学多元物質科学研究所 教授)
研究期間:平成16年10月~平成22年3月

JSTはこの領域で、物質や材料に関する科学技術の発展の原動力である新原理の探索、新現象の発見と解明に資する新たな計測・分析に関する基盤的な技術の創出を目指しています。上記研究課題では、走査トンネル顕微鏡を主な手法とし、トンネル電流を用いた単一スピンの検出方法の確立を目指しています。

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